音楽療法士派遣に関する活動報告(2014, 2018~2019)
2014年2月27日静岡大学地域連携セミナー「地域におけるヒューマン・ケア連携のために」の中で最初の在宅音楽療法の 様子を紹介させていただいきました。翌年2015年には18トリソミーと21トリソミーのご兄弟が見学に訪れました。この兄弟の在宅音楽療法は勝山が主催する音楽療法グループもりの声で提供することとなりました(右写真)。6年の間に幾つかの実践を通して見えてきたことは、生活に密着している在宅訪問型音楽療法は、個々のクライアントさんに沿った内容で提供することができる反面、音楽療法の場だけでは解決できない課題が生じるということです。ここにヒューマン・ケア支援機構が支えることの大きな意味があると考えます。2019年度に提供した支援の報告を致します。
企画「重症心身障がい児・者のための在宅型音楽療法~自宅で体験してみませんか~」
興味はあるが、どんなことをするのかわからないので不安という方に体験をしてもらうという企画です。対象となる方の情報や問い合わせはありましたが重度の方の実践にはつながりませんでした。現在も引き続き募集中です。[ポスター]
企画「みんなで考えよう地域共生 インクルーシブってなあ~に?」
8月17日(日)番町市民活動センターにおいて、18トリソミーのお子さんの母、鈴木巳知代さんが代表を務める「ひまわりキッズ応援団」にヒューマン・ケア支援機構が協力するという形態をとりました。当日は、様々な立場の方51名が参加しました。他県から参加下さった方、NHKの取材も入るなど関心の高いテーマであったことをあらためて確認できました。
アンケートに寄せて頂いた参加者のご意見では、大阪大学名誉教授の浜渦辰二先生による北欧ケアのお話では、「日本との違いを学んだ」という記載が多くありました。インクルーシブという思想に至るまでの歴史を知っていただけたことも良かったと思います。また、障害のお子さんをお持ちの方も参加されており、普通学校に通うことに対して「学校が壁を作らず、試しながら常に“改善―支援”を繰り返していければ良いのでは」という指摘が目にとまり、是非参考にしてほしいと思いました。
“どんなに重い障がいがある人も”共生していくためには、皆が理解しようと関心を向けることが第一歩だと思います。 その一石を投じることができたのではないでしょうか。 当日の様子は2019年10月1日発行静岡市番町市民活動センター情報誌『ばんたび』No.40(3頁)に掲載されています。
2019年 | |
11月15日 | NHKたっぷり静岡(医療的ケアの現状、普通学級で過ごす様子やクラスメートの言葉も放送されました。) |
11月20日 | 静岡市議会自民党議員 2名が小学校訪問 クラスで過ごす様子を見学 |
12月18日 | 静岡市議会公明党議員と記者 小学校訪問 公明党新聞掲載 |
2020年 | |
2月 4日 | 中日新聞静岡掲載 「障害のない子と一緒に」鈴木大斗君の母願い |
2月13日 | 東京新聞掲載 18トリソミーの8歳、小学校に行かせたい 「地域に生きた証を」母の思いに静岡市教委は応えられるか |
参考:医療的ケア児童の小学校に関する他県の事例(参議院議員 舩後靖彦氏ホームページ)
企画「走る本屋さんがやってくる」の開催
11月10日番町市民活動センターにおいて、書店に足を運ぶことが困難な方が本を手にとって購入できるような場を用意しました。ことの発端は、交通事故により人工呼吸器を装着する在宅療養の青年との音楽療法から持ちあがりました。この青年は障害の状況からベッドで移動することしかできませんが、自分の意思は瞬きや目の動きで伝えることができます。ケアされるだけの受け身の生活ではなく、自身の思いが共有された生活が必要であると考え、月2回の音楽療法では能動的に参加することを大切に進めてきました。その先にある大きな目標は「社会とのつながり」を実現することです。このような思いにご賛同いただいたのが、移動販売を行う「高久書店さん」。店主の高木久直さんは本の伝道師の異名を持つ方です。当日は午前の部に障がい児・者のための時間を取り、午後は絵本専門士による読み語りのコーナー、ひかり市民センターさんの園庭カフェのコーナー、ギター演奏を織り交ぜた内容で、70名程の参加者となりました。青年は、高木さんとのやりとりを通して5冊の本を選びました。慣れ親しんだ人でなくてもコミュニケーションがとれたという体験はとても大きな自信となったと思います。