院外倫理コンサルテーション
1. 設置の背景
倫理コンサルテーションとは、医療、看護、介護の現場において倫理的問題に直面した人たちが、そうした問題を解決できるように支援する活動です。元々は1970年代にアメリカにおいて始められましたが、2000年以降、日本でもこの活動を実施する病院が少しずつ増えています。しかし、病院の外で生じる倫理的問題に対応するためのコンサルテーションサービスは、いまだほとんど行われていません。そこで本NPOでは、在宅医療における倫理的問題の解決を支援するために、院外倫理コンサルテーションを始めることにしました。日頃医療・ケアを実施する中で解決が困難な問題に直面した場合には、気軽にご相談ください。
2. 倫理的問題の具体例
倫理コンサルテーションで扱われる問題としては、次のようなものが挙げられます。
- 有効と考えられる医療・ケアを患者が拒否している。
- 患者が残した事前指示の内容に従うことを家族が拒否している。
- 医師が不適切な処置をしているように思われる。
- 胃ろうを造設すべきかどうか、関係者の意見が一致しない。
- 終末期の患者に対する告知をした方がよいかどうか判断が難しい。
ただし、ここに挙げたもの以外にもさまざまな形で倫理的問題は生じますので、「これは倫理的問題なのだろうか」と悩んだ場合には、気兼ねなく依頼をして下さい。
3. 利用対象者
病院には属さない形で、医療・ケアに携わっている専門職の方を対象にしています。患者・家族の方については、病院に設置されているセカンド・オピニオンサービスの利用をお願いします。また、病院で働いている専門職の方については、院内に設置されている倫理委員会等の組織への依頼をお願いします。ただし、院内にそうした組織が存在しなかったり、存在してはいるものの機能していない場合には、依頼を受け付けます。
4. 費用
コンサルテーションに関して費用をいただくことはありません。
5. 患者の個人情報
コンサルテーションを実施するにあたり、患者の個人情報は扱いません。依頼書には患者個人を特定できる情報を記載しないようにお願いいたします。
なお、患者の個人情報を扱わないため、依頼のさいに患者から同意を取る必要はありませんが、依頼の前に一応同意をもらっておきたいという方は、以下の同意書をご利用ください。 (NPOへ送付しないようにお願いいたします。)
- 同意書(Microsoft Word/PDF)
6. 倫理コンサルテーションチーム
天野 功二(あまの・こうじ) | あおぞら診療所しずおか 院長/医師 | プロフィール |
北西 史直(きたにし・ふみなお) | トータルファミリーケア北西医院 院長/医師 | プロフィール |
堂囿 俊彦(どうぞの・としひこ) | 静岡大学人文社会科学研究科臨床人間科学専攻教授/倫理学者 | プロフィール |
本家 淳子(ほんけ・じゅんこ) | 浜松医科大学周術期等生活機能支援学講座特任助教/看護師 | プロフィール |
7. コンサルテーションの流れ
依頼者とコンサルテーションチームの連絡は、基本的にEメールで行います。
- 依頼
- 所定の依頼書に必要事項を記入した上で、ethics_consultation[アットマーク]npo-humancare.jpへお送りください。送付のさいには、以下の二点に気をつけてください。
- 患者個人を特定できる情報を記載しない
- ファイルにパスワードをかける。(パスワード設定方法:外部サイト)
- 依頼書(Microsoft Word/PDF)
- 所定の依頼書に必要事項を記入した上で、ethics_consultation[アットマーク]npo-humancare.jpへお送りください。送付のさいには、以下の二点に気をつけてください。
- ミーティング (1)
- 依頼書をもとにコンサルタントで話し合い、足りない情報などを確認した上で、依頼者に追加情報の提出をお願いします。
- ミーティング (2)
- 依頼者に出してもらった追加情報をもとに、チームとしての考えをまとめます。
- 回答の返信
- 依頼をいただいてから2週間以内には回答を電子ファイルで返信いたします。最終的な回答をまとめるには一定の時間がかかるため、緊急の対応が必要な問題を扱うことはできません。
8. 免責事項
倫理コンサルテーションチームの役割は、依頼者および関係者の方が決定をするにあたって支援を行うことにあります。そのため、コンサルテーションチームは、関係者の意思決定およびそこから生じるいかなる結果に関しても責任を負いません。
9. 回答後に関するお願い
- フィードバックシートへの回答
- 回答送信三ヶ月後に、コンサルテーションサービスのさらなる改善のためにフィードバックシートへの回答を依頼させてただきます。回答に同意していただける場合には、依頼書の該当箇所にチェックを入れてください。
- 研究のためのデータ保存
- 将来、院外倫理コンサルテーションの活動状況を、研究として発表する予定です。研究利用のためのデータ保存に同意していただける場合には、依頼書の該当箇所にチェックを入れてください。なお、研究内容が具体的に決定した時点であらためて説明を行い、参加の可否について確認させていただきます。(研究利用のさいには、依頼者の個人情報は匿名化されます。)
上記いずれにも同意されない場合には、回答後に依頼書および関連メールはすみやかに廃棄いたします。